ラーンが巨大な石扉をこじ開ける音が、埃っぽい遺跡の静寂を一瞬満たした。イシェは後ろから「本当に開くとは思わなかった」と呟きながら、懐中電灯の光で内部を照らした。広がるのは、天井まで届きそうな巨大な円柱が立ち並ぶ、荘厳な空間だった。「うわっ…」ラーンの声が漏れる。
「ここが噂の『封じられた神殿』か？」テルヘルが近づいてきて、石柱に刻まれた複雑な文様を指差した。「古代文明の知識が詰まっているという話だが…本当にそうなのかしら」彼女は眉間に皺を寄せた。
イシェは慎重に足場を確認しながら進んでいった。「この遺跡はヴォルダン軍が封鎖していたはずだ。一体どうやってここに辿り着いたのか…」彼は振り返り、ラーンとテルヘルに問いかけた。
ラーンはニヤリと笑って、「そんなことより、宝探しの時間だ！もしかしたら、この神殿には…」彼の言葉を遮るように、突然の爆音と震動が遺跡全体を駆け巡った。石塵が舞い上がり、視界を奪う。
「なんだ…！？」ラーンの叫び声がかき消される。イシェは慌てて懐中電灯を振り回し、周囲を確認した。崩れかけた天井から、黒い影がゆっくりと姿を現す。「ヴォルダン…」テルヘルが呟いた。その瞬間、影の中から鋭い剣が光り、イシェの肩に突き刺さった。
「イシェ！」ラーンの絶叫が響き渡る中、テルヘルは冷静に剣を抜いて構えた。「この封鎖された神殿には、どうやらヴォルダンの意図があったようだ…」彼女は冷たい目つきで影に切りかかった。