ビレーの薄暗い酒場で、ラーンが豪快に笑っていた。「またあの遺跡か！いいぞ、テルヘル！俺たちには大穴があるはずだ！」
イシェは眉間に皺を寄せながら、ラーンの肩を軽く叩いた。「落ち着きなさい、ラーン。テルヘルが言うように、今回は慎重に進まなきゃ。」
「慎重に？イシェ、お前いつもそう言うんだよ！でもさ、あの遺跡には何かあるって感じるんだ！」
ラーンは興奮気味に目を輝かせた。イシェはため息をつき、テーブルに置かれた封書を指差した。「テルヘルがくれた封書の中身は？」
「ああ、あれか。ヴォルダンの兵士の動きとか、遺跡の地図とか色々書いてあったな。」ラーンは軽く言ったが、イシェは封書の重みに心を痛めていた。ヴォルダンとの関係、そしてテルヘルの復讐心。あの封書には、彼らの運命を大きく左右する何かが隠されている気がした。
「よし、準備はいいか？出発だ！」ラーンが立ち上がり、剣を腰につけた。イシェは小さく頷き、封書を懐にしまうと、彼らに続いた。遺跡の入り口で、テルヘルが待っていた。彼女は凛とした表情で三人に言った。「今回は特に慎重に進もう。ヴォルダンの動きも気になるし、遺跡自体にも危険が潜んでいるかもしれない。」
ラーンの顔色は一瞬曇ったが、すぐにいつもの明るい笑顔に戻った。「わかった！テルヘル、俺たちを信じてついてこい！」
三人は遺跡へと足を踏み入れた。封書の内容は、彼らの行く末を予見しているかのように重くのしかかっていた。