「おい、ラーン!あの石柱、触るな!」イシェが叫んだが、ラーンの手はすでに石柱に触れていた。石柱には複雑な文様が刻まれており、その一部が光り始めた。すると、地面が激しく震え始めた。
「やっちまったか…」ラーンの顔色が変わった。
「逃げろ!」イシェの言葉とともに三人は遺跡から一目散に脱出した。崩落する遺跡を振り返ると、石柱から黒煙が立ち上っていた。
「あの石柱、何だったんだ?」ラーンは息を切らしながら言った。
テルヘルは冷静に言った。「古代の魔導技術の一種だ。危険な遺物に触れてしまったようだ」
「魔導技術…」イシェは不安そうに言った。「あの遺跡には他にも危険なものが隠されているかもしれない」
「そうだとしても、探さなければならない」テルヘルの目は冷酷な光を放っていた。「あの遺跡にはヴォルダンに繋がる何かがあるはずだ。私は必ず復讐を果たす」
ラーンとイシェは互いに顔を見合わせた。彼らはテルヘルの目的を知っていた。ヴォルダンからの復讐。それは彼らにとって直接関係ないことだった。しかし、テルヘルが持つ強い意志と、その裏にある深い憎しみには心を打たれるものがあった。そして、自分たちがこの争いに巻き込まれていくことを避けることはできないと感じていた。
「よし、わかった」ラーンは深く息を吸い込んだ。「次の遺跡へと向かうぞ!」
イシェはため息をつきながら言った。「本当に大穴が見つかるのか…」
三人は再び遺跡の奥へと進んでいった。彼らの前に広がるのは、未知なる危険と、そして、大きな報酬の可能性だった。