ラーンの豪快な笑い声が、埃っぽい遺跡の通路にこだました。
「ほら見てイシェ!こんなところに宝箱があったなんて!」
彼は興奮気味に、錆び付いた宝箱を床に置いた。イシェは眉間にしわを寄せながら、慎重に宝箱を開けていく。
「また古い食器か…」
宝箱からは、見覚えのある装飾の施された壺が出てきた。イシェはため息をつき、ラーンに言った。
「ラーン、もういい加減にしろ。こんな小さな遺跡で、大穴が見つかるわけないだろ」
ラーンの笑顔が少し曇る。「でも、いつか必ず見つかるって信じてたんだ…」
イシェは彼の言葉を遮った。「現実を見ろよ。この遺跡の調査報告書を見てみろ。ここには何もない。ただの古い遺物と廃墟だ」
その時、テルヘルが背後から低い声で言った。「そうかな?私はここに何かがあると思うわ」
ラーンとイシェは振り返ると、テルヘルの鋭い視線を感じた。彼女は宝箱を見つめながら、静かに口を開いた。
「この遺跡には、ヴォルダンが隠した秘密があるはずよ。そして、その秘密が私を復讐へと導いてくれる」
ラーンの顔色が一瞬青ざめた。イシェはテルヘルの言葉に少しだけ興味を示しつつも、冷静さを保った。
「何の話だ?ヴォルダンと何か関係あるのか?」
テルヘルは微笑みを浮かべた。「それは、あなたがたが私のために遺跡を探索し続ける限り、いつか明かされるわ」
ラーンは混乱した表情でイシェを見つめた。イシェは深くため息をつき、小さく呟いた。
「また面倒な話が始まりそうだ…」