「おい、イシェ、今日はどこ行くんだ?」ラーンが、寝ぼけ眼をこすりながら言った。イシェはいつも通り、早朝から遺跡の地図を広げていた。「今日はあの東の遺跡群だな。テルヘルが、古い文献らしきものを入手したらしいぞ」
「また難しそうな遺跡かよ…」ラーンの顔色が曇った。「おいおい、楽勝で宝の山が見つかると思ってたんだけどな」イシェはため息をついた。「そんな甘い話はないわよ、ラーン。遺跡は危険と隣り合わせだってことを忘れてるんじゃないでしょうね?」
「分かってるって!でもさ、いつか大穴を見つける夢を諦めないんだぞ!」ラーンの瞳に、いつもの輝きが戻ってきた。イシェは微笑んだ。「そうね、あなたの夢を応援するわ」
テルヘルが到着したときには、すでに準備万端だった。「今日は特に慎重に進もう。遺跡の情報は限られてるし、罠の可能性もある」テルヘルの声はいつもより低いトーンだった。ラーンとイシェは互いに頷き合った。「よし、行くぞ!」ラーンの声が響く中、三人は遺跡へと足を踏み入れた。
薄暗い通路を進んでいくと、壁に奇妙な模様が刻まれていた。「これは…」イシェが目を丸くした。「古代の呪文だ。気をつけないと危険だ」テルヘルは警告を発した。ラーンが不快な表情を浮かべた。「また面倒な話かよ…」
奥へ進むにつれ、空気は重くなり、不気味な音が聞こえてくるようになった。「何かいるぞ!」ラーンの剣が光り始めた。イシェは緊張しながら周囲を見回した。その時、床から黒い影が立ち上がり、三人に襲いかかってきた。
「うわっ!」ラーンが剣を振り下ろす。イシェは素早い動きで影をかわし、テルヘルは呪文を唱え始めた。「逃げろ!ここは危険だ!」
激しい戦いの末、三人はなんとか影を退けた。しかし、彼らの表情は険しく、疲労の色が濃くなっていた。「まさかこんなところに…」イシェは息を切らしながら言った。「この遺跡には何か悪意のあるものが潜んでいるようだ」テルヘルは冷静に分析した。「気を引き締めよう。まだ始まったばかりだ」
ラーンの瞳に闘志が燃えていた。「よし、行くぞ!大穴を見つけるまで、どんな危険も恐れずに進んでいくんだ!」イシェは彼の手を握りしめ、深く頷いた。三人は再び遺跡の奥へと進んでいった。