ラーンが巨大な石扉の前に立ち尽くしていた。イシェの警告も届かず、まるで hypnotized されたようにその扉に手を伸ばそうとしていた。テルヘルが彼の腕を掴んで引き戻した瞬間、背後から轟音が響き渡った。石塵が舞う中、ラーンは振り返り、崩れ落ちる天井から逃げるように走り出した。イシェとテルヘルは彼の後を追い、狭い通路に押し込まれる。
「あの扉は触っちゃいけなかったんだ!」イシェが叫ぶ。「罠だった! 」
ラーンの顔には動揺の色が見えなかった。「でも、あの扉の向こうには…」
「今は逃げろ!」テルヘルが鋭い声で遮った。
彼らは崩れ落ちる遺跡を抜け、ようやく安全な場所へたどり着いた。ラーンの肩が上下に震えていることにイシェは気づいた。
「大丈夫か?」
ラーンは深く息を吸い込み、ゆっくりと頷く。「ああ、大丈夫だ。」
だが、彼の目はどこか空虚に見えた。あの扉の向こうには何があったのか、誰も知らない。そして、ラーンだけがその謎に魅せられたかのようだった。