ラーンの大 swing が埃を巻き上げ、壁の一部が崩落した。イシェは眉をひそめながら、崩れた石の隙間から差し込む薄暗い光を確かめた。「また無駄な力加減だ。あの奥にある部屋なら、少し慎重にすれば開けられるはずだ。」
ラーンは肩をすくめて、「慎重になんでもいいけど、早く財宝が見つからないと困るんだよ。イシェ、お前も大穴の夢見てないのか?」
「そんなもの、ただの幻想よ。現実的でありたいわ。それに、あの遺跡の地図を見てみろ。ここには何もない。」イシェは、ラーンの目の前で広げた古びた羊皮紙を指差した。そこには複雑な図柄が記されていたが、明らかに不完全で、重要な部分が欠落していた。
「そうかな?俺には何か感じるんだ。この遺跡には必ず何かがあるって。」ラーンは自信ありげに言った。彼の目は、地図の空白部分にじっと注がれていた。イシェはため息をつきながら、彼の手伝いをした。
その頃、テルヘルは二人を少し離れた場所で様子を見守っていた。彼女の視線は鋭く、周囲を常に警戒していた。ヴォルダンとの復讐を果たすためには、この遺跡に眠る秘密が必要だった。そして、ラーンとイシェの存在も利用価値があると感じていた。だが、彼らの無邪気な行動に、彼女はどこか皮肉を感じていた。まるで、深い闇の中にいる者たちが、わずかな光を追い求めているようにも見えた。
テルヘルは小さく呟いた。「愚かな夢を見るな。真の宝とは、力と復讐にあるのだ。」彼女の言葉は、空中に消えゆくように、静かに響き渡った。