「おいラーン、今日はあの遺跡の南側を試すぞ。地図によると、そこには未探索の区域があるらしいんだ」イシェが、古びた羊皮紙を広げながら言った。ラーンの顔は期待で輝いていた。「よし!ついに大穴が見つかるかもな!」
イシェは眉をひそめた。「また大穴か? そんな甘い話はないわよ。現実を見ろ、ラーン」しかし、ラーンの熱意に押されるように、イシェも地図に目をやった。
そのとき、背後から冷たげな声が聞こえた。「南側か。無駄な探索だな。そこには何もない。私が知っている」テルヘルが近づいてきて、両手に宝剣を携えていた。「だが、もし貴方たちが本当に何か見つけたいなら、私は案内人になる。もちろん、報酬は別だ」
ラーンとイシェは顔を見合わせた。テルヘルの提案は魅力的だった。彼女にはヴォルダンとの因縁があり、遺跡に関する知識も豊富だった。しかし、彼女の目的はあくまで復讐であり、彼らを利用する可能性も否定できなかった。
「何の報酬が必要なの?」ラーンが尋ねた。「情報と支援だ」テルヘルは涼しい声で答えた。「私はヴォルダンに奪われた富を取り戻す必要がある。そのために、貴方たちに協力してもらいたい。そして、成功すれば、その富の一部を分け与える」
ラーンの目は輝きを増した。「富か!なら話は別だ!」イシェはため息をついた。「ラーン、いつも通り考えが浅いよ」しかし、ラーンの興奮に押され、イシェも頷くしかなかった。彼らはテルヘルの案内で遺跡へと向かった。
遺跡の奥深くには、かつて富豪が住んでいたという伝説が残る場所があった。そこは、ヴォルダンに奪われた財宝を隠すのに最適な場所だった。テルヘルは遺跡の構造や仕掛けについて詳しく説明した。彼女の知識と経験は、ラーンとイシェの助けになった。
しかし、遺跡には危険も潜んでいた。トラップが仕掛けられていたり、恐ろしい怪物が出現したりする。ラーンは剣を振り回し、イシェは機転を利かせながら危機を乗り越えていった。テルヘルは常に冷静沈着に状況を把握し、彼らのサポートを怠らなかった。
そしてついに、彼らは伝説の財宝の部屋を見つけた。金貨や宝石が山積みになっており、その輝きは目を奪った。「やった!大穴だ!」ラーンは大喜びで叫んだ。イシェも驚きを隠せなかった。
しかし、テルヘルは冷静に言った。「まだ終わりじゃない。ヴォルダンは必ずこの財宝を狙ってくる。我々はすぐに逃げる必要がある」テルヘルの言葉通り、ヴォルダンの軍隊が遺跡に襲いかかってきた。ラーンとイシェはテルヘルと共に激しい戦いを繰り広げた。
激しい戦いの末、なんとかヴォルダン軍を撃退することに成功した。しかし、財宝は持ち去ることができなかった。それでも、彼らは貴重な情報を手に入れた。それは、ヴォルダンの弱点であり、テルヘルの復讐を果たすための鍵となる情報だった。
ラーンとイシェは、テルヘルと共に遺跡を後にした。彼らの冒険はまだ始まったばかりだった。