ビレーの薄暗い酒場の一室。ランプの火が揺らめく中、ラーンとイシェはテルヘルとの密談に臨んでいた。テーブルの上には、ヴォルダンから奪い取ったという地図が広げられている。
「あの遺跡には、ヴォルダンの軍備に関する情報が隠されているはずだ」
テルヘルの言葉は冷たく、しかし確信に満ちていた。ラーンは地図を指さしながら、いつもの調子で言った。
「おいおい、そんな大物情報、本当にそこに眠ってるのか？俺たちはただの遺跡探索者だぞ？」
イシェはラーンの肩を軽く叩き、真剣な顔つきでテルヘルに問いかけた。
「あなたが言うように、ヴォルダンとの戦いに役立つ情報なら、我々も協力したい。しかし、そのリスクを考えると…」
テルヘルは静かにワイングラスを傾け、口元に含んだ赤ワインの光が、鋭い瞳を照らした。
「リスクは当然ある。だが、成功すれば、ヴォルダンに復讐を果たすだけでなく、君たちも大きな報酬を得られるだろう」
ラーンの目は輝き、イシェは眉間にしわを寄せながらも、どこか心惹かれるものがあった。三人はしばらく沈黙を守り、それぞれの思惑を巡らせた。酒場の外から聞こえてくる喧騒は、彼らの密談に緊張感を高めていた。
「よし、わかった」
ラーンの声が決意に満ちていた。イシェも小さく頷き、テルヘルは薄笑いを浮かべた。三人の運命は、この小さな密談によって大きく動き出すこととなるのだ。