ラーンの大 swing で埃が舞う。崩れかけた天井から光が差し込み、埃が踊るように輝いた。
「よしっ、ここだ！」
ラーンは興奮気味に叫んだ。イシェは眉をひそめた。いつも通りのラーンの調子である。だが、今回は何かが違う気がした。イシェの直感は、この遺跡がただの廃墟ではないことを告げていた。
テルヘルは冷静に周囲を見回した。彼女の目は鋭く、壁のひび割れや床の石畳の配置など、些細な変化も見逃さなかった。彼女は何かを感じ取っていた。
「ここには何かある」
テルヘルの言葉が響き渡った時、地面が激しく震えた。天井から石が崩れ落ち、ラーンは咄嗟にイシェを庇った。その時、床の真ん中から光り輝く球体が現れた。それはまるで太陽のように輝き、周囲を照らし出す。
「何だあの光！」
ラーンの声は驚きと畏怖で震えていた。イシェも言葉を失い、テルヘルは静かに球体を見つめた。その光には、彼女がヴォルダンから奪われた大切なものを思い起こさせる力があった。復讐の炎が燃え上がる。
球体がゆっくりと回転し始め、そこから声が聞こえた。それは、遠い昔の人々の言葉だった。ラーンは聞き取れなかったが、イシェとテルヘルは理解した。それは、この遺跡に眠る秘密、そして彼らの宿縁を告げるメッセージだった。
「これは…」
イシェの声は震えていた。彼女はこの光の中に、自分たちの未来を見た気がした。ラーンの無計画さ、テルヘルの復讐心、そして自分の現実主義的な性格。三者の異なる価値観が、この光によって一つに結ばれるのを感じた。
球体の光がさらに強くなり、三人は目を細めた。そして、その光の中に、彼らの未来の姿が映し出された。それは、希望に満ちた未来であり、同時に残酷な運命をも孕んでいた。