ラーンの豪快な笑い声がビレーの朝を告げた。イシェは眉間にしわを寄せながら、粗末なテーブルの上の地図を広げた。「今日はあの崩れかけた塔跡に行こうって決めたんでしょ?」
「ああ、そこの遺跡には古代の武具が眠ってるって噂があるんだ!」ラーンは目を輝かせた。イシェはため息をついた。「噂話に踊らせないでよ。あの塔は危険だって聞いたことがあるわ」
その時、扉が開きテルヘルが入ってきた。「準備はいいか?」彼女の鋭い視線が二人を刺すように感じた。「今日は少し特別な仕事だ。ヴォルダンからの情報提供者から話を聞いた。あの塔跡には、ある家臣が眠るという。彼の遺品には、ヴォルダンに復讐するための手がかりがあるかもしれない」
ラーンの顔色が変わった。「家臣か…?」イシェも興味津々に地図を指さした。「あの家臣はどんな人物だったのかしら?」テルヘルは口元をわずかに曲げた。「それは君たちには関係ない。重要なのは、その遺品がヴォルダンに打撃を与える可能性があるということだ」
ラーンの瞳に闘志が燃え上がった。「よし、行こう!イシェ!」イシェはためらいながらも、彼と共に立ち上がった。テルヘルの冷たい視線を感じながら、三人は遺跡へと向かった。 崩れかけた塔跡の入り口には、かつて家臣が守っていたであろう石像が朽ち果てた姿で立っていた。ラーンは剣を抜き、イシェは慎重に周囲を警戒した。テルヘルは地図を広げ、指示を出す。
「あの奥の部屋を目指せ。そこは家臣の墓所だ」