ラーンが遺跡の入口で鼻を鳴らした。「よし、イシェ、今日は必ず何か見つかるぞ！」
イシェは彼を睨みつけ、「またそんな大口叩くな。あの遺跡は既に何十回も探検済みだ。何もないってことは、あの学者みたいな男が言ってたろ」
ラーンの顔に曇りが出た。「あいつはただの臆病者だ。俺たちにわかるはずがないような場所に何か隠されているって言うんだぞ。きっと大穴だ！」
イシェはため息をつきながら、テルヘルの方を見た。「どうしますか？」
テルヘルは深く考え込むように目を閉じ、「あの遺跡には何かあると思う。それは確実だ」と言った。彼女の言葉には、揺るぎない自信があった。
「では、準備はいいか？」とラーンは剣を構えた。「よし、行くぞ！」
彼らは遺跡の入り口に続く暗い通路へ足を踏み入れた。
イシェはテルヘルの後ろを歩きながら、彼女の過去について考えていた。ヴォルダンとの因縁は深いものがあるのだろう。あの冷たい目は、復讐心で燃えている。彼女は一体どんな家柄から生まれたのか。
「イシェ！」
ラーンの声が聞こえた。彼は壁に何かを見つけたようだった。「これは…！」
イシェが近づくと、ラーンは興奮した様子で指さした。「何だかわかるか？これは古代の地図 fragmentだ！」
イシェもその地図をじっと見つめた。そこに描かれているのは、ビレー周辺の地形図だった。しかし、地図には記されていない場所があった。それは、彼らの住むビレーから遠く離れた、ヴォルダンの国境に近い場所を示していた。
「これは…」イシェは言葉を失った。
テルヘルは静かに言った。「あの遺跡には、ヴォルダンに隠された秘密がある。」彼女の目は鋭く光っていた。「そして、その秘密を解き明かす鍵が、この地図にある。」