ラーンが大きな声で笑った。「おいイシェ、見てみろ！こんなの初めてだぞ！」彼の目の前には、錆び付いた金属製の扉があった。遺跡の奥深くで見つけたもので、壁一面に複雑な文様が刻まれていた。
「確かに珍しいものね…」イシェは眉をひそめた。「でも、本当に開けられるのかしら？この扉が一体何につながっているのかも分からない」
ラーンは気にせず、肩越しにテルヘルの方を見た。「どうだ、テルヘル！開けてみないか？」
テルヘルは静かに扉の文様を観察していた。彼女は普段から冷静沈着だが、今回はどこか落ち着きがないように見えた。「この記号…私は見たことがある」と呟いた。「ヴォルダンにある古文書に類似したものが載っていたはずだ…」
「ヴォルダンか…」ラーンが言葉を失った。彼はテルヘルがヴォルダンに何かしらの恨みを抱えていることは知っていたが、具体的な理由は知らなかった。
イシェは緊張した表情で言った。「もし本当にヴォルダンのものなら…危険かもしれないわよ」
だが、ラーンの好奇心は抑えられなかった。「開けてみようぜ！」と叫び、扉に手をかけた。
その時、テルヘルが彼の腕をつかんだ。「待て！」と制止する。彼女の目は鋭く光っていた。「この扉を開けるには、特別な鍵が必要だ」
「鍵？」ラーンは首を傾げた。「そんなものはあるのか？」
テルヘルは小さく頷いた。「ある…そして、私はその鍵を知っている」彼女はゆっくりと口を開き、ある場所の名前を言った。それは、ヴォルダンに最も近い場所の一つだった。