「よし、今回はあの崩れた塔だな！噂によると、奥深くには未開の部屋があるらしいぞ！」ラーンが目を輝かせ、地図を広げた。イシェは眉間にしわを寄せながら、「またそんな曖昧な情報に飛びつくのか？ 以前の洞窟みたいに、巨大な蜘蛛の巣だらけだったらどうしよう？」とため息をついた。
「大丈夫だ、イシェ！今回は違うぞ！俺の直感が言ってるんだ！」ラーンは自信満々に言ったが、その目は少し泳いでいるようだった。「それに、テルヘルさんが依頼してくれた報酬も大きいんだ。あの塔を調査したら、きっと大穴が見つかるはずだ！」
テルヘルは鋭い眼光で二人を見据えていた。「今回の調査には、特に注意が必要だ。ヴォルダンからの情報によると、その塔にはかつて『宗家』と呼ばれる一族が住んでいたという。強力な魔法使いであり、彼らの遺物には危険なものも含まれている可能性がある。」
イシェは背筋をゾッとするような寒気に襲われた。「宗家…？」ラーンの顔色も少し変わった。「そんな危険な場所に行くのはやめようよ…」と呟いたが、ラーンは既に興奮して地図に指を動かしていた。
「よし！準備だ！宝探しの冒険だ！」ラーンの叫び声が、崩れた塔へと響き渡っていく。イシェは深くため息をつきながら、テルヘルの冷たい視線を感じた。「あの塔には何かが眠っている…きっと、歴史の闇に葬られたもの…」