ラーンが巨大な石の扉を押し開けた時、埃っぽい空気が彼らを包んだ。イシェは咳き込みながら懐中電灯を照らした。「ここが噂の『古代王の墓』か？」
「おっと、なかなか立派じゃないか」ラーンは興奮気味に石畳の上を踏みしめ、奥へと進んでいく。イシェはため息をつきながら彼の後を追った。テルヘルは二人を見下ろすようにして扉口に立ち、「急がせてもらうよ。目標物はあの奥にある祭壇だ」と告げた。
遺跡内部は広大で複雑な構造になっていた。壁には古代の文字が刻まれており、イシェは興味津々に観察していた。ラーンはそんなイシェを置いてきぼりにし、宝探しのみに夢中だった。「ほら、イシェ！見てみろよ、この宝石！」
イシェが振り返ると、ラーンは小さな宝箱を開け、中には輝く宝石が入っていた。しかし、その瞬間、床から黒い煙が噴き出した。
「うっ…！」ラーンの叫び声が響く。煙の中に巨大な影が現れた。それは古代の守護者、石像のような姿で、目には赤い光が宿っていた。
ラーンは剣を抜いて立ち向かった。「やれやれ、また面倒な奴か…」だが、その攻撃は石像に全く効かなかった。イシェはテルヘルに助けを求めた。「何かできることあるでしょ？」
テルヘルは冷静に状況を分析し、「あの石像は古代の呪文で活性化しているようだ。それを解く鍵は、祭壇にあるはずだ」と告げた。
イシェはラーンを援護しながら、祭壇へと急いだ。しかし、石像は二人を執拗に追いかけてきた。イシェは息を切らしながら、「もうダメ…」と呟いた。その時、ラーンの剣が石像の腕を切り落とした。
「やった！？」ラーンの顔には安堵の色が浮かぶ。だが、石像は再び立ち上がり、さらに凶暴になった。イシェは絶望した。「これで終わり…か」
その時、テルヘルが祭壇に手を当てた。「これで…完了だ」
祭壇から光が放たれ、石像は塵と化していった。イシェは驚愕し、ラーンも呆然と立ち尽くしていた。テルヘルは満足げに微笑み、「さあ、目的を果たしたところで、次の遺跡へ行く準備をしよう」と言った。