ラーンの豪快な笑いが、ビレーの薄暗い tavern にこだました。イシェは眉間に皺を寄せながら、彼の背後から彼の手を掴んで引き止めた。「ちょっと待ちなさい、ラーン。あの酒場のおかみさんに喧嘩を売るつもりか？」
「大丈夫だ、イシェ。俺が言うんだ。今日は俺たちが勝つぞ！」ラーンの顔には自信に満ちた表情が広がっていた。
テーブルの上には、テルヘルが持ち込んだ地図が広げられていた。それは、ヴォルダンとの国境付近にある遺跡の場所を示すものだった。テルヘルは、その遺跡に眠るという古代の武器を手に入れ、ヴォルダンへの復讐を果たそうとしていた。
「この遺跡には、ヴォルダン軍が以前から目を付けているらしいぞ。」テルヘルは冷たく言った。「だが、俺たちは先に辿り着ける。そして、その武器を手にするんだ。」
イシェは地図に視線を落とした。「危険すぎるんじゃないか？ヴォルダン軍と戦うのは…」
「大丈夫だ、イシェ。俺が守るから。」ラーンは彼女の肩を力強く叩いた。「それに、あの武器を手に入れたら、俺たちはもう何も怖くないぞ！ビレーで最高の酒を飲みながら、毎日楽しく過ごせるんだ！」
イシェはため息をついた。ラーンの楽観的な考えに、彼女はいつも振り回されるような気がした。だが、彼の言葉には、どこか安心できるものがあったのも事実だった。彼の笑顔を見るたびに、イシェは自分の不安が少しだけ小さくなるのを感じた。
「わかったわ、ラーン。私も行く。」イシェは小さく頷いた。
三人は tavern を後にし、夜空に浮かぶ月明かりの下、遺跡へと向かった。彼らには、危険と興奮、そして希望が詰まった冒険が待っていた。