ラーンが巨大な石扉を押し開ける。埃っぽい空気が流れ込み、彼らを包んだ。イシェは咳き込む。「ここは…？」
「遺跡だと言っただろ！」ラーンが豪快に笑う。「ほら、見てみろ！この彫刻、すごいだろう？」壁一面に描かれた、幾何学模様と星図のようなものが刻まれていた。イシェは眉をひそめた。どこかで見たような気もするが、記憶が定かではない。
「何か変だな…」イシェは言った。「この遺跡…まるで空に向かって造られたようだ」確かに、天井には巨大な穴が開いており、夜空が見えるようになっている。「そして…あの模様…」イシェは壁の星図を指差した。「これは…宇宙？」
ラーンの顔色が変わる。「まさか…宇宙船の遺跡とか…？冗談だろうな」だが、彼の声には自信がない。テルヘルが近づき、鋭い目で壁を睨んだ。「面白い。ヴォルダンにもこんな遺跡の情報はなかった」彼女は目を輝かせた。「もしこれが本当なら…」
その時、地面が激しく揺れた。ラーンはバランスを崩しそうになったが、イシェに支えられた。「何だ！？」
「何かが近づいている！」テルヘルが剣を抜く。「準備しろ！」
突然、天井から光が降り注いだ。それは、まるで星屑のように輝き、空間に広がる。そして、その中心から巨大な影がゆっくりと現れた。それは、丸みを帯びた、不規則な形をした物体だった。
「あの…あれは…」ラーンの言葉にならない。イシェも言葉を失い、ただその光景をじっと見つめていた。
テルヘルだけが冷静さを保っていた。「これは…我々の想像を超えたものだ」彼女は剣を構え直した。「だが、敵か味方かはまだ分からない。警戒しろ！」