ビレーの朝日は、いつもより少しだけ青く染まっていた。ラーンが目を覚ますと、イシェがすでに準備を終えていた。「今日はあの遺跡へ行くんだろ?」ラーンの眠りぼそぼその問いかけに、イシェは小さく頷いた。テルヘルとの約束だ。彼女から依頼された遺跡は、ビレーの周囲には珍しく、星空を映すような深い青色の石でできた門を持つものだった。
「あの門が宇宙につながっているって話、聞いたことあるか?」ラーンの言葉に、イシェは眉をひそめた。「そんな迷信を信じてるわけないだろう」と冷静に返したが、内心では少しだけゾッとした。かつてビレーの住民も、星空のような青い石が持つ不思議な力を感じていたという話を聞いたことがあるからだ。
テルヘルは遺跡の奥深くにある部屋から、何か特定の遺物を探していると言っていた。その遺物が何なのか、ラーンとイシェには知らされていない。「あの女性は一体何を企んでいるんだ?」イシェがつぶやくと、ラーンは肩をすくめた。「そんなこと考えても仕方がないだろ。とにかく、大穴が見つかるまで、彼女の言うことを聞いてれば良いんだ」
遺跡の入り口に立つと、いつもより冷たい風が吹き付け、ラーンの肌を刺した。イシェは背筋がゾッとするのを感じながら、青い石の門へと足を踏み入れた。門をくぐり抜けると、そこはまるで別の世界だった。星空のように輝く青い石でできた通路が広がり、その奥には、宇宙に浮かぶ星々のような光が淡く輝き始めた。イシェは息を呑んだ。ラーンも言葉を失い、ただその光景を見つめていた。
「ここって…本当に宇宙の一部なのだろうか…」イシェの呟きは、冷たい風によってすぐに消え去った。 ラーンとイシェは、テルヘルと共に、青い石の迷宮に足を踏み入れていった。彼らの前に広がるのは、未知なる世界だった。