ラーンの大斧が、遺跡の奥深くへ伸びる暗い通路の壁を叩きつけた。石塵が舞い上がり、わずかな光を遮った。イシェは咳払いをして、「また無駄な力加減だ。あの程度では何も崩れないだろう」と眉をひそめた。ラーンは肩をすくめて笑った。「いやいや、イシェ。俺の直感だ。ここには何かあるって感じるんだ!」
イシェはため息をつきながら、ラーンの背後から続く通路を照らすランプを高く掲げた。その光は、壁に刻まれた奇妙なシンボルを浮かび上がらせた。複雑に絡み合った線と点々は、まるで何かの物語を語っているようだった。「何か感じるって?またあの迷信か?」イシェは言ったが、心のどこかでラーンの言葉に少しだけ期待を抱いていた。
テルヘルは二人を見下ろしながら、「この遺跡のシンボルは、ヴォルダンの軍がかつて利用していたものと一致する」と冷静に言った。彼女の鋭い視線は、壁のシンボルを一点一点追っていた。「この遺跡にはヴォルダンに関する何かがある可能性が高い。我々はこの場所から、彼らに対する貴重な情報を得られるかもしれない」
ラーンは興奮した様子で、「そうか!だから俺の直感は正しかったんだ!」と叫んだ。イシェはテルヘルの冷静な分析に安心しながらも、ラーンの無謀さに手をこまねいていた。「落ち着いてラーン。テルヘルが言ってるように、この遺跡は危険かもしれないぞ」
テルヘルは、ラーンの興奮を鎮めるように、「落ち着け、ラーン。我々は計画的に進めよう。イシェ、お前は壁のシンボルを記録し、意味を解読してみろ」と指示した。イシェは頷き、メモ帳を取り出した。彼はいつも通り冷静に状況を分析していたが、内心ではこの遺跡がヴォルダンに関する何かを明らかにする可能性に期待を抱いていた。
ラーンはテルヘルの指示に従い、剣を構えながら慎重に進む準備をしていた。「よし、準備はいいぞ!俺たちは、ヴォルダンの秘密を暴くんだ!」 彼の目は輝き、まるで遺跡の中に眠る謎が彼を呼んでいるようだった。イシェは深くため息をつきながら、ラーンとテルヘルについていくことに決めた。彼は自分自身の目的のために、この危険な旅に巻き込まれたのだ。
彼らは遺跡の奥へと進んでいった。壁に刻まれたシンボルが、まるで彼らの歩みを導くかのように、彼らを深い闇へと誘っていた。