「よし、今回はあの崩れかけた塔だ」ラーンが地図を広げ、指を動かした。イシェは眉間にしわを寄せて地図を覗き込んだ。「また危険な場所かい？ ラーン、あの塔は噂で呪われているって聞いたぞ」
「呪いなんて気にすんな！ 大穴があるかもしれないんだぞ！」ラーンの目は輝いていた。イシェはため息をついた。「いつも同じこと言うわね…」
その時、テルヘルが口を開いた。「今回は私と一緒に relic を探す。お前たちには別の仕事だ。」 ラーンの顔色が変わった。「え？ なんで？ 俺たちは遺跡に潜るためにここに来たんだろ？」
「今回の relic は危険だ。お前たちに任せられるものじゃない」テルヘルの目は冷たかった。イシェはラーンの肩を軽く叩いた。「まあ、今回はテルヘルさんの言う通りにしてみようよ。それに、あの塔は本当に危険そうだし…」
ラーンは渋々頷き、地図を畳んだ。
遺跡探索を終え、三人はビレーの酒場で合流した。ラーンとイシェは疲れ切った様子で、ビールをグイッと飲んでいた。テルヘルは一人で静かにワインを味わっていた。
「どうだった？」ラーンの視線に答えるように、テルヘルは小さく頷いた。「必要なものを手に入れた」 すると、彼女は何かを思い出すかのように、遠くを見つめた。「かつて…妹と一緒に暮らしていた場所に似ていた…」
イシェは驚いてテルヘルの方を見たが、ラーンは何も言わずに酒を飲み干した。その夜、ラーンの心には複雑な感情が渦巻いていた。仲間たちとの絆、そして、テルヘルの言葉の中に隠された何か。彼は自分の夢だけを追いかけるのではなく、いつかテルヘルが抱える影に触れなければいけないと感じていた。