ビレーの酒場には、いつもより活気があった。遺跡からの持ち帰りが良好だったことが、街に流れる金の流れとなって表れていたのだろう。ラーンはイシェの眉間にしわを寄せている様子を見て、少しだけ心配になった。
「どうしたんだ?イシェ。いつものように頭を抱えてないだろうな?」
イシェは深呼吸をしてから、テーブルに置かれた酒を一口飲んだ。「最近、街が騒がしいと思わないか?遺跡の持ち帰りも良くて、皆が贅沢をしている。でも、そんな好況の裏には何かある気がするんだ。」
ラーンの顔に笑みが浮かぶ。「何を言ってるんだ?イシェ。いいことだぞ!酒も食も美味いし、街の人たちも笑顔だよ。もっと楽しまないか?」
「楽しまないとダメだって言うんじゃないんだ」とイシェは言った。「この好況がいつまで続くのか、そしてその後に何が待っているのか、それが心配なんだ。」
ラーンの心にも少し不安がよぎった。確かに最近、街の雰囲気がどこか落ち着きがないように感じていた。
その時、酒場に入ってきたテルヘルが、彼らのテーブルに近づいてきた。「何か深刻な話をしているようだが、何だ?」
イシェはテルヘルの鋭い視線を感じながら、ゆっくりと口を開く。「テルヘル、あなたはヴォルダンについて詳しいでしょう?この好況の裏には、ヴォルダンの影がないか心配なのです。」
テルヘルは少し考え込んだ後、低い声で言った。「ヴォルダンは currently は動きを見せていない。しかし、彼らのような国は常に何かを企んでいるものだ。油断は禁物だ。」
ラーンは立ち上がり、テーブルを叩いた。「だったら、俺たちがヴォルダンに先手を打つんだ!遺跡から強力な武器を掘り出して、彼らを打ち負かす!」
イシェはラーンの熱意に少しだけ安心を感じながらも、冷静に言った。「ラーン、落ち着いて。テルヘルが言うように、今は様子見が必要だ。焦らずに、情報を集めよう。」
テルヘルは頷き、「私も同意だ。今は情報収集と準備期間だ。そして、その準備を整えるために、次の遺跡探索に向かうべきだ。」
三人は互いに視線を交わし、それぞれの思いを胸に秘めた。好況の波がいつまで続くのか、そしてその先には何が待ち受けているのか。彼らはまだ何も知らなかった。しかし、一つだけ確信していた。それは、自分たちの運命は自分たちで切り開くということだった。