ラーンの豪快な笑い声がビレーの街並みにこだました。今日も遺跡探索から帰ってきたばかりだ。イシェが疲れた顔で荷物を下ろすと、ラーンは既に酒場で友人たちと盛り上がっていた。
「今日はどうだった?何か変わったもの見つけたのか?」
イシェはテルヘルの問いに答える前に、ラーンの背中に手を叩きつけた。「おい!まだ話してるぞ!」
ラーンは笑いながら振り返り、「いや、今回は大したものはなかったな。でも、奥深くまで進めたんだ!あの崩れた通路の先には、何かがある気がするぜ!」
テルヘルは眉をひそめた。「崩れた通路?危険だ。無理に進む必要はないだろう。」
「大丈夫だ、イシェがしっかり見てるだろ?」ラーンはそう言って酒をぐいっと飲んだ。イシェは苦笑しながら、テルヘルに小さく頷いた。
イシェはラーンの無茶な行動にはいつも不安を感じていた。だが、彼の熱意と仲間への献身には心を打たれることもあった。そして、この街、ビレーに流れ着いたテルヘルには、ラーンの明るさが唯一の光だったように思えた。
「次はあの遺跡だな!地図によると、そこにはかつて王室の宝物庫があったらしいんだ!」
ラーンの興奮した声は、まるで奔流のように街中に広がっていく。イシェはため息をつきながらも、テルヘルに視線を合わせた。彼女の瞳に、どこか切ない光を感じた。
「よし、準備はいいか?」
ラーンは立ち上がり、剣を腰につけた。イシェとテルヘルも立ち上がった。三人は街の喧騒から抜け出し、遺跡へと向かう。彼らの足取りは、まるで奔流のように勢いがあった。