「おいイシェ、あの石像、動かんか?」 ラーンが剣で石像を突いた。埃が舞うだけだった。「やっぱりダメか。こんな遺跡ばかりじゃ、大穴が見つからないよ」
イシェは眉間にしわを寄せながら石像の表面を観察していた。「見方を変えればヒントになるかもしれない。この彫刻、何かを表してるんじゃないか?」 ラーンの無茶な行動にいつも呆れているが、冷静に状況を分析する。
「何だ、そんなこと言ってても何も進まねえだろ」ラーンはイシェの言葉に耳を貸さず、近くの宝箱に飛びついた。「ほら、開けろよ!」
イシェはため息をつきながら宝箱を開けるための仕掛けを探した。すると、箱の側面に複雑な模様が刻まれていた。「これって…?」
その時、背後から声がした。「その模様、ヴォルダンの紋章に似てるわね」
ラーンとイシェは振り返ると、テルヘルが立っていた。「この遺跡はヴォルダンと関係があるかもしれないわ。あの石像も、何か隠された意味を持つはずよ」
「ヴォルダンか…」 ラーンの顔色が変わった。「おいイシェ、俺たちの目的は遺物じゃなくて大穴だぞ?ヴォルダンに関係ない遺跡を探そうぜ!」
テルヘルは冷静に言った。「大穴を探すためには、この遺跡の謎を解く必要がある。ヴォルダンが何か隠しているはずよ。それに、この遺跡の奥には、きっと奉行が眠っているはず」
ラーンの表情が曇った。「奉行か…あの噂は本当だったのか?」 奉行とは、かつてヴォルダンに滅ぼされた小国の伝説的な指導者であり、その力は今なお語り継がれている。
イシェはテルヘルの言葉を聞いた瞬間に、何かを察した。「もしかして、あなたが…」
「そうよ」 テルヘルは静かに言った。「私はヴォルダンに全てを奪われた。奉行の力を手に入れれば、復讐を果たせる」