ラーンの大げさな雄叫びが、埃っぽい遺跡の奥深くまでこだました。イシェは眉間に皺を寄せながら、彼を睨みつけた。「またか、ラーン。あの石碑に書いてあるのは『危険』だって。」
「大丈夫だ、イシェ！俺たちにはテルヘルがいるだろ？それに、大穴を探すためにはリスクも必要なんだ！」ラーンはそう言うと、大きな剣を振り上げた。
テルヘルは冷ややかな目で石碑を見つめていた。「確かにリスクは必要だが、無謀な行動は避けよう。この遺跡はヴォルダン軍が以前調査した記録がある。罠の可能性もある。」
ラーンの顔色が少し曇った。「そんなこと言わずにさ、少しは冒険心も必要だろ？」
イシェが溜息をついた。「ラーン、テルヘルが言う通りだ。あの石碑には確かに警告文が刻まれている。無理に進むと失敗する可能性が高い。」
「よしっ、わかったわかった！じゃあ、ちょっとだけ慎重に進むか！」ラーンの態度が少し軟化したのは、イシェの言葉のおかげだったのかもしれない。
しかし、彼らの前に広がる遺跡は、予想以上に複雑で、罠だらけだった。ラーンが石を踏んだ瞬間、床が崩れ落ち、彼を深い穴の中に落とす。イシェとテルヘルが慌てて駆け寄るも、ラーンの姿は見えない。
「ラーン！」イシェの声が響く空間に、かすかな返事が聞こえた。「俺…大丈夫だ！でも…足が…」
イシェは急いでロープを下ろしたが、すでに深い穴から上がってくるのは難しい状況だった。テルヘルは冷静に状況を判断し、「イシェ、お前は上に戻って支援要請を出す。私はラーンを助けに行く。」
イシェはためらいながらも、テルヘルの指示に従った。
テルヘルは慎重に穴の奥へ降りていった。しかし、そこは予想以上に危険な場所だった。毒気のあるガスが漂い、壁には鋭い棘が生えていた。それでもテルヘルはラーンを見つけ出すために、危険を冒して前進した。
そして、ついにラーンの姿を見つけた時、彼女は絶望に打ちひしがれた。ラーンの足は深い傷を負っており、意識を失っていた。テルヘルは彼を抱き上げようとしたが、その瞬間、天井から崩れ落ちる石塊が彼女の頭上に襲いかかってきた。