日差しが容赦なく照りつけるビレーの市場。ラーンはイシェに絡みつくようにして、「今日の遺跡は俺が先導だ!絶対にいいもんが見つかるぞ!」と豪語した。イシェは眉をひそめながら、「またあの洞窟? ラーン、そこはもう何十回も探しただろう」と冷静に反論した。「違うって! 今回は確信があるんだ! きっと天国への入り口が開かれる…いや、開いている!」ラーンの目は燃えるように輝き、イシェを説得しようとする。
そんな彼らを背後から鋭い視線で見ていたのはテルヘルだ。彼女は薄く微笑んで呟いた。「天国か… 興味深い話だ。だが、私は違う宝を求めている。」彼女の瞳に映るのは、ヴォルダンとの復讐を果たすための冷たい炎だった。
ビレーの賑わいを離れ、3人は遺跡へと向かった。ラーンの興奮は高まり、イシェも彼を少しだけ引きずられるように洞窟の中へと足を踏み入れた。テルヘルは二人を見つめながら、静かに歩を進めた。洞窟内は薄暗く、湿った冷気が漂っていた。
ラーンは興奮気味に壁を叩き、「ほら! この石の模様、天国の扉を開ける鍵になるぞ!」と叫んだ。イシェはため息をつきながら、石の模様を注意深く観察した。「ただの自然の模様じゃないか…」彼女は呟いた。だが、テルヘルは何かを感じ取ったのか、少しだけ眉をひそめた。
その時、洞窟の奥の方から不気味な音が聞こえてきた。ラーンは目を丸くし、「なんだあの音…?」と不安そうに言った。イシェも緊張した表情を見せ、剣を握り締めた。テルヘルは静かに手を上げ、3人に合図を送った。
闇の中に潜む影がゆっくりと動き始めた…。