ビレーの酒場で、ラーンが豪快に笑っていた。イシェは眉間にしわを寄せながら、彼の肩を叩いた。「また大口叩いてるよ。あの遺跡から財宝が見つかるなんて、ありえないでしょう」。
ラーンは気にせず、酒をぐいっと飲み干した。「いやいや、今回は違うって!あの地図、なんか不思議な感じがしないか?きっと大穴があるはずだ!」
イシェはため息をついた。「地図なんて、ただの古い羊皮紙でしょ。何百年も前に誰かが描いたもの。信じていいわけがない」。
その時、背後から声がした。「信じられるかどうか試せばいいでしょう」。
ラーンとイシェが振り返ると、テルヘルが立っていた。鋭い眼光で二人を見下ろす。
「あの遺跡には、ヴォルダンが隠したという噂があるんです。私の情報筋によると、そこに何か重要なものがあるらしい。あなたたちを雇ったのは、そのものを手に入れるためです」。
ラーンの目は輝き始めた。「ヴォルダンか!あの大国は確かに強いけど、俺たちはビレーの男だ!どんな危険も恐れないぞ!」
イシェはテルヘルの言葉を疑いながらも、ラーンの熱気に押されてしまった。結局、彼らは再び遺跡へと向かうことになった。
遺跡の入り口には、朽ちた石碑が立っていた。「ここは外様のものには近づくな」と刻まれていた。イシェは不安を感じたが、ラーンは「そんな古い戒めを気にするな!」と笑い飛ばした。テルヘルは冷静に周囲を観察し、何かを企んでいるような表情で言った。「外様とは…」。
遺跡内部は暗く湿っていた。石畳の床には苔が生え、壁には奇妙な絵が描かれていた。ラーンとイシェは懐中電灯を手に、慎重に進んでいった。テルヘルは後方を警戒しながら、二人が進むのをじっと見つめていた。
すると、奥から不気味な音が聞こえてきた。ラーンは剣を抜き、イシェも緊張した表情で構えた。テルヘルは静かに口を開いた。「何かがいるようだ」。