ラーンがいつものように大口を開けて笑っていた。「今日の目標は、あの古代王の墓だ!きっと黄金の棺と宝石が詰まった宝箱が見つかる!」
イシェは眉間に皺を寄せながら、彼の背後から地図を広げた。「そんな安易な話じゃないわよ。古代王の墓は、強力な呪いがかけられているという伝説があるのよ。ましてや、あの辺りは変人たちが住んでいる場所だし…」
「変人?面白い!どんな変人だ?」ラーンの目は輝きを帯びていた。イシェはため息をつきながら地図に指を置いた。「地図によると、墓の近くに住んでいるのは、自称『死者の声と交信できる男』という人物らしいわ」
「へぇー、死者の声!?」ラーンは興奮気味に剣を構えた。「これは行くしかないな!」イシェは諦めたように肩を落とした。テルヘルは冷静に状況を分析していた。「死者の声と交信できる男か…情報源を特定し、彼の能力が真実かどうか確認する必要がある。もし彼が真実に近いのならば、ヴォルダンとの戦いにも役立つかもしれない」
ビレーの街を後にした3人は、山道を進むにつれて、不気味な雰囲気を感じ始めた。朽ち果てた建物や奇妙な彫刻が立ち並び、静寂は不自然に深く、鳥のさえずりすら聞こえてこない。イシェは不安そうにラーンの腕を引っ張った。「本当にここに来るべきだったのかしら…?」
ラーンは気にせず、歩き続けた。やがて彼らは、奇妙な小屋の前にたどり着いた。「ここが死者の声と交信できる男の家か…」イシェは戸惑いながらも、ラーンと共に小屋の扉を叩いた。扉が開くと、そこには白髪の老人が座っていた。彼の目は鋭く、まるで生きている死体のように冷酷だった。
「汝は何を望むのか?」老人の声は低く、不気味に響き渡った。「死者の声と交信できる男か…」ラーンは興奮を抑えられずに言った。「古代王の墓について教えてくれ!そして、俺たちをそこに導いてくれ!」
老人は静かに笑みを浮かべた。「汝の願いは叶えられるだろう…だが、代償が必要だ」彼は目を閉じ、ゆっくりと口を開いた。「死者の声は、常に真実を語る…」老人の言葉は、まるで呪文のように響き渡り、3人の運命を変える予感を漂わせていた。