ラーンが巨大な石の扉を押し開けると、埃っぽい空気が充満した広間が広がった。イシェは鼻をつまんで「また、どこかの墓場か…」と呟きながら、足元に散らばる瓦礫に注意深く足を踏み入れた。
「宝箱でもあればなぁ」
ラーンはいつものように夢を語りながら、石柱の陰から飛び出してくる巨大な蜘蛛のような怪物に剣を振り下ろした。イシェは素早く弓を引き絞り、矢を放つ。蜘蛛はラーンの剣で深傷を負いながらも、イシェの矢をかわしながら襲いかかってくる。
テルヘルは冷静に状況を判断し、背後から忍び寄る小さなモンスターたちを片っ端から切り捨てながら「この遺跡はヴォルダンとの戦いで利用されていたようだ。貴重な情報が眠っている可能性がある」と告げた。
ラーンの攻撃は荒々しく、イシェの矢は正確だが、蜘蛛は頑丈でなかなか倒せない。テルヘルは「この程度では私の目的には及ばない」と呟きながら、小さな宝石を地面に投げつけた。宝石から紫色の煙が立ち上り、蜘蛛は苦しみながら動きを止め始めた。
「何だこれは？！」ラーンは驚いて叫んだ。
テルヘルは微笑みを浮かべ、「この遺跡には、ヴォルダンが欲しがるものがある。そして、私はそれを手に入れるためにあらゆる手段を使う」と答えた。イシェはテルヘルの言葉に背筋が寒くなるのを感じた。
蜘蛛は完全に動きを止め、巨大な体から宝石が光り始めた。イシェは「あの宝石…？」と呟いた。ラーンは「おい、イシェ！今のは何だ？！」と叫んだが、イシェはテルヘルの方を見つめていた。テルヘルの目は冷たく、その奥には何かを隠すような意志があった。
「これは…」イシェは言葉を詰まらせ、ゆっくりと宝石の光に手を伸ばした。