ラーンが巨大な石扉をこじ開ける音が、埃っぽい空間にこだました。イシェは懐中電灯の光を扉の奥へと向け、ひっそりと息をのんだ。広がるのは、漆黒の闇だった。
「ここか…」テルヘルが呟き、剣を構えた。「気を引き締めてくれ。墓に眠るものたちは、静かに眠らせておくべきだ。」
イシェはうなずいた。この遺跡は、かつて王家の墓所として使われたと言われている。数々の伝説や噂が渦巻く場所だ。ラーンは興奮気味に、石畳の上を足早に歩を進めた。
「おい、待てよ!」イシェが慌てて彼をつかまえた。「ここは慎重に進まないと…」
だがラーンの目は、すでに奥へと向いていた。扉の向こうには、数多くの石棺が整然と並んでいた。冷たい風が吹き抜けてきて、イシェの肌を刺した。
「すごい…こんなところに…」ラーンは呟き、石棺の一つに手を伸ばそうとした。
その時、テルヘルが ihn を鋭い声で制止した。「触るな!あの石棺には…」
その瞬間、石棺の一つから、黒く濁った煙が立ち上り始めた。煙が渦を巻く中、不気味な声が響き渡った。
「誰だ…この墓を…」
ラーンの顔色が変わった。イシェは恐怖で言葉を失った。テルヘルは剣を握りしめ、立ち向かう覚悟を決めた。墓の静寂を破り、戦いが始まろうとしていた。