「よし、今回はあの崩れた塔だ」ラーンが目を輝かせ、地図を広げた。イシェは眉間に皺を寄せた。「またあの塔か？ 危険だって聞いたぞ」。ラーンの計画性のない行動にはいつも呆れていた。「大丈夫だ！俺が先頭に立って道を切り開くからな！」ラーンは豪快に笑った。イシェはため息をつきながらも、彼について行くことにした。
彼らはビレーから少し離れた場所にある崩れた塔に向かった。かつて栄華を誇った塔だが、今は朽ち果て、危険な魔物が潜むと言われている。ラーンの無謀さにイシェは不安を感じたが、彼の熱意に巻き込まれていく自分がいた。
塔の中は暗く湿っていた。足元には崩れかけた石畳が広がり、天井からは石膏が落ちてきた。ラーンは剣を構え、周囲を警戒しながら進んだ。「何かいるぞ！」突然、ラーンの声が響き渡った。闇の中から巨大な影が襲いかかってきた。イシェは素早く身をかわし、剣を抜いた。
「これは...ゴーストスパイダーだ！」イシェは驚愕した。ゴーストスパイダーは強力な毒を持つ魔物で、非常に危険だった。「ラーン、気をつけろ！」イシェが叫んだ。
ラーンの剣とゴーストスパイダーの牙が激しくぶつかり合った。激しい戦いが繰り広げられた。イシェも隙をついて攻撃を加えたが、ゴーストスパイダーは強靭な体で応戦した。
その時、後ろから冷たい声が聞こえた。「面白いですね、この状況」テルヘルが現れた。彼女は冷静な表情で戦いを眺めていた。「私はあなたが二人を雇った理由を思い出させますね。この遺跡には強力な遺物があると...」テルヘルは少しだけ口元に笑みを浮かべた。
ラーンの攻撃がゴーストスパイダーの体に命中し、ついに倒した。イシェは安堵のため息をついたが、同時にテルヘルの言葉に疑問を感じた。彼女は一体何を企んでいるのか？ そして、この遺跡には本当に何かあるのだろうか？