ラーンが興奮気味に遺跡の入り口を指さした。「よし、今回は絶対に何かあるぞ!あの奥深くに眠っているはずだ、大穴!」イシェは眉間にしわを寄せた。「またあの話か。ラーン、そんな夢ばかり見ている余裕はない。地租の納入期限も迫っているんだぞ」
「大丈夫、大丈夫。きっと今回は違う!ほら、テルヘルさんもそう言ってくれるよね?」ラーンの視線はテルヘルに向けられた。彼女はいつも冷静に地図を広げ、複雑な地形を分析していた。「今回は確かに可能性があるかもしれない。しかし、油断するな。ヴォルダンからの情報によると、この遺跡には危険な罠が仕掛けられている可能性がある」
テルヘルはそう言うと、鋭い視線でラーンを睨みつけた。「お前たち2人は地租の支払いを逃れるために遺跡に潜り込むつもりだろう。だが、今回は違う。私はお前たちに力を貸す代わりに、何か別のものを手に入れたいのだ」イシェが不安げな表情を見せたが、ラーンの顔は相変わらず明るい。
「わかった、テルヘルさん!その代わりに大穴を見つけたら、半分あげるよ!」彼は豪快に笑った。「よし、準備はいいか?さあ、遺跡へ潜入だ!」
3人は遺跡の入り口へと進んでいった。薄暗い通路を進むにつれ、空気が重くなり、不気味な静寂に包まれた。ラーンの無鉄砲な行動にイシェが不安を感じながらも、テルヘルの冷静な判断と鋭い洞察力で進路を切り開いていく。地租の支払いを懸けた危険な冒険は、彼らを未知なる世界へと導くことになる。