ラーンが巨大な石の扉を押し開けると、薄暗い通路が広がった。イシェが後ろから「懐中電灯だせーよ、ラーン!」と唸りながら、小さな光を振り回した。埃っぽい空気が鼻腔をくすぐる。
「よし、ここだな」テルヘルが地図を広げ、指で線をなぞった。「この奥に遺跡の核心があるはずだ。古代ヴォルダン人が築いたという伝承もあるらしい。」
ラーンの胸が高鳴る。いつか大穴を見つける夢を叶えるチャンスなのかもしれない。イシェは眉間にしわを寄せる。「本当にここなのか? 何度も探しても何も見つからなかった場所じゃないか?」
「今回は違う」テルヘルは静かに言った。「この遺跡はヴォルダンとの国境近くに位置する。我々が探すものは単なる遺物ではない。ヴォルダンが隠した秘密、その核心にたどり着きたいのだ。」彼女の瞳には、燃えるような決意があった。
彼らは慎重に通路を進んでいった。壁には奇妙な模様が刻まれており、時折、不気味な音が聞こえる。イシェは緊張を隠せない様子だ。ラーンは「大丈夫だ、イシェ。僕たちが守るぞ」と励ましたが、自分自身も少し不安を感じていた。
通路の先に広がるのは、巨大な石室だった。天井から伸びる柱はまるで巨大な樹木のように見えた。中央には、光り輝く球体が浮かんでいる。それは古代ヴォルダン人の文明を象徴する物なのかもしれない。
「すごい…」ラーンが息をのんだ。イシェも言葉を発せず、ただその光景に見入っている。テルヘルはゆっくりと球体に向かい、手を伸ばした。「ついに…見つけた」彼女は呟いた。
その時、石室の壁から光が放たれ、球体は激しく揺れた。同時に、遠くの地平線に広がる空が赤く染まり始めた。まるで世界が終わるような光景だ。ラーンの心は恐怖でいっぱいになった。
「何だこれは…」イシェが声を震わせた。テルヘルは冷静さを保ちながら言った。「ヴォルダン人の罠だ。この球体は…何かを呼び覚ますためのものだった。」