ビレーの酒場「荒れ狂う熊」はいつもより騒がしかった。 いつもならラーンとイシェのいつもの席は空席だったが、今日はそこにテルヘルの姿があった。彼女は硬い表情で酒を一口飲み干した。
「ヴォルダンからの情報が入った」
ラーンの目を輝かせた。イシェは眉間に皺を寄せた。「またか？」
「今回は違う」テルヘルは地図を広げ、指で特定の地域をなぞった。「この地域にある遺跡。ヴォルダンが何かを狙っているらしい。我々も先に手に入れれば、彼らに痛手を与えられるチャンスだ」
ラーンの拳が握り締まった。「よし、行くぞ！」
イシェはため息をついた。「またしても危険な仕事か…」
「危険は承知の上だ」テルヘルは冷たく言った。「だが、この機会を逃せば、ヴォルダンに永遠に支配されるだろう。我々が立ち向かうしか道はない」
ラーンとイシェは互いに視線を交わした。ビレーの周りにある地域を支配するヴォルダンの影は、日を追うごとに濃くなっていた。彼らを巻き込んだこの争いは、もはや単なる遺跡探検ではなかった。地域の未来がかかっているのだ。
「わかった」イシェが言った。「行くぞ、ラーン」