「よし、今回はあの崩れかけた塔だな!」ラーンが目を輝かせた。イシェは地図を広げると眉間にしわを寄せた。「また危険な場所か…。」「大丈夫だ、イシェ!俺たちが一緒なら怖くないぜ!」ラーンの言葉にイシェはため息をついた。
テルヘルは静かに彼らのやり取りを見つめていた。「今回は地代が少し増えた。あの塔には貴重な遺物があるかもしれないと情報が入っているんだ。」彼女の言葉にラーンはさらに目を輝かせた。イシェはテルヘルの言葉を聞いて、少しだけ安心した。テルヘルは報酬を上げるということは、この遺跡探索を重視しているということだ。もしかしたら、本当に大きな発見があるのかもしれない。
ビレーの街から少し離れた山裾にある崩れかけた塔。石畳の道は崩れ落ちており、草木が生い茂っている。ラーンが先陣を切り、剣を構えながら慎重に進む。イシェは後ろから彼を見守り、常に周囲に注意を払う。テルヘルは地図を片手に、三人の動きを把握しながら指示を出していく。
塔の内部は薄暗く、埃っぽい空気が漂っている。崩れた天井から雨水が漏れ、床には苔が生えている。ラーンの足音だけが響き渡る静かな空間。
「ここには何かあるはずだ。」テルヘルが壁に手を当てると、かすかに光る模様が見えた。「これは…古代の文字?」イシェは目を丸くした。
ラーンは興奮気味に言った。「よし、これで大穴が見つかるぞ!」しかし、イシェは不安を感じていた。この塔には何か不吉な雰囲気が漂っていたのだ。
その時、床が崩れ、ラーンが下に落ちてしまった。イシェとテルヘルは慌てて駆け寄る。「ラーン!大丈夫か?」イシェの声に、ラーンはうろ覚えの声で答えた。「…俺、ここに何か見つけた…」
イシェとテルヘルはラーンの元に駆け寄ると、彼の指さす方向を見た。そこには、朽ちかけた石棺が置かれていた。その表面には、奇妙な模様が刻まれており、不気味な光を放っている。
「これは…?」イシェは震える声で尋ねた。テルヘルは表情を曇らせ、「地代を払う価値のあるものなのかもしれない…」と呟いた。
ラーンの視線は石棺に釘付けになっていた。「大穴か…まさか…」彼は興奮気味に言った。「よし、開けてみよう!」