ビレーの薄暗い酒場で、ラーンが豪快に笑い声を上げた。「またかよ、イシェ!お前はいつまでその顔すんのさ!」イシェは眉間にしわを寄せ、ラーンの肩を力強く叩いた。「今回は違うって!あの遺跡の奥深くで、奇妙な光を見たんだ。きっと何かあるはずだ」ラーンは目を輝かせたが、イシェの表情は硬いままだった。
テルヘルがテーブルに近づき、鋭い視線を彼らに向けた。「二人は一体何を騒いでいるのですか?無駄な時間を過ごしているようですね」ラーンの笑顔が消え、イシェは肩をすくめた。「あの遺跡の話だよ、テルヘルさん。何か見つかったかもしれないって」
テルヘルは冷めた笑みを浮かべた。「その光を見たのはお前だけだと聞いたわ。イシェは信じてないでしょう?」イシェは視線をそらした。「そうだな…でも、念のため確認したいと思って…」彼の言葉は途切れ、圧迫感を与えるような沈黙がテーブルを包んだ。ラーンはテルヘルの鋭い視線を感じながらも、イシェの小さな声に心を痛めた。
「よし、わかった。もう一度遺跡に入るわ。だが今回は、私が指揮をとる」テルヘルがそう言い放つと、ラーンの顔色が変わった。「おいおい、待てよ!俺たちの遺跡だぞ!」しかし、テルヘルの言葉には力があり、ラーンは反論できなかった。イシェは深くため息をつき、二人の間に立ち塞がるように言った。「落ち着いてください。三人が協力すれば、何かを得られるはずです」
圧巻の沈黙が再びテーブルを覆った。ラーンの目は燃えるような闘志で輝き、イシェは冷静さを保とうと努め、テルヘルは冷酷な微笑みを浮かべていた。彼らの運命は、遺跡の奥深くへと続く暗闇の中に消えていくように感じた。