土手

川や道の脇に盛り上げた土。

物語への影響例

自然と人工の境界。保護と隔離の象徴。安全の幻想。乗り越えるべき障壁。

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ラーンが巨大な石の扉を押し開けた瞬間、埃っぽい空気が彼らを包んだ。イシェは咳き込みながら懐中電灯を点け、薄暗い遺跡内部を照らした。

「ここか…」イシェは呟いた。「テルヘルが言うには、この遺跡の奥に何か重要な遺物があるらしい」

ラーンは興奮気味に剣を構えた。「よし!早速探検だ!」

だが、イシェは彼の熱意を抑えた。「待て、ラーン。まずは安全確認だ。ここはかつてヴォルダン軍が占領していた場所だとテルヘルは言っていた。罠が残っているかもしれない」

二人は慎重に遺跡の中を進んだ。崩れかけた壁や倒れた柱が行く手を阻み、足元には石ころと瓦礫が散らばっていた。まるで巨大な土手のように積み重なった石の残骸が、かつて栄華を極めた文明の痕跡を物語っていた。

「ここなら安全そうだな」イシェは崩れた壁際に腰を下ろした。「少し休憩しよう」

ラーンも疲れた様子で頷き、イシェの横に腰を下ろした。二人は暫し沈黙に包まれた。遺跡の外では太陽が沈み始め、空には夕暮れの赤色が広がっていた。遠くから犬の遠吠えが聞こえてきた。

その時、ラーンの足元に何か光る物体が落ちた。彼は目を丸くして、その物体を拾い上げた。それは小さな金色の箱だった。

「なんだこれは?」ラーンは好奇心旺盛に箱を開けようとした。だが、イシェは彼の手を制止した。

「待て、ラーン!触るな!」

イシェの表情は真剣だった。「この遺跡には危険が潜んでいるかもしれない。特にヴォルダン軍が関わっていた場所では…」

その時、背後から冷たい声が響き渡った。「何をしている?」

ラーンとイシェは振り返ると、テルヘルが立っていた。彼女は剣を抜き、鋭い眼光で二人を見下ろしていた。