ラーンが石の破片を蹴り飛ばすと、イシェは眉間に皺を寄せて言った。「本当にここに宝があるのかね?いつもそう言ってはいるけど、結局何も見つからなかったじゃないか」。
ラーンの笑顔は一瞬曇った。「今回は違うって!この遺跡、なんか違う感じがするんだ。ほら、あの壁に刻まれた紋様、見たことあるような…」。
イシェは壁を指さしたラーンの肩を軽く押した。「そんなのただの模様だろ。早く帰ろうよ、今日はもう日暮れ時だ」。
その時、テルヘルが背後から低い声で言った。「待った。何か感じるものが…」
彼女はゆっくりと石畳の上を歩きながら、視線を壁に固定していた。イシェはテルヘルの様子を見て不安になった。「何を感じたんだ?」
テルヘルは首を横に振らずに、静かに口を開いた。「囁きがする…」。
ラーンは眉をひそめた。「囁き?そんなもの…」
だが、その瞬間、壁からかすかな光が放たれ、三人は一瞬息をのんだ。光はゆっくりと広がり、壁の紋様を浮かび上がらせ始めた。
イシェは背筋がぞっとした。「これは…!」
ラーンの瞳は興奮で輝いていた。「やっぱり!何かあるって思ったんだ!」
テルヘルは手を差し出し、光に触れた。「確かに…何かここに眠っているものがあるようだ」。彼女は振り返り、ラーンとイシェに言った。「準備はいいか?これから、真の冒険が始まる」。