ラーンが巨大な石の扉を勢いよく押し開けた時、埃が舞い上がり、薄暗い部屋に充満した。イシェは咳き込みながら懐中電灯を点け、狭い空間を照らした。
「また空っぽか…」イシェは肩を落とした。ラーンはいつものように豪快に笑って、「まだ諦めるな!次の部屋にはきっと何かあるぞ!」と、石畳の上を駆け出した。テルヘルは静かに周囲を観察し、足元の石畳の隙間から伸びる植物の根に目を凝らしていた。「ここには何者かがここに住んでいた形跡がある…」「一体何を目指しているんだ?」イシェが呟くと、テルヘルは小さく頷いた。
「この遺跡はヴォルダンと関わりがある可能性が高い。彼らが何かを隠している。」彼女は鋭い視線で石畳に刻まれた奇妙な模様を睨みつけた。「あの記号…どこかで見たことがある…」
ラーンの無邪気な笑いが、埃っぽい空間にこだました。イシェはテルヘルの言葉を聞き逃さなかった。彼女の目的は復讐であると分かっていたが、その執念深い眼差しに、イシェは一抹の不安を感じた。
「大穴」を見つける夢を叶えるために、彼らは危険な遺跡を探索する。だが、その先に待ち受ける真実とは一体何なのか…?イシェは深く考え込むことなく、ラーンの後をついていくことにした。
彼らにはまだ知らない世界が広がっていた。