ラーンが遺跡の入口で、興奮気味に拳を握りしめた。「よし！今回は必ず大穴だ！」彼の声は、埃っぽい空間にこだました。イシェはため息をつきながら、背後からラーンの肩を軽く叩いた。「またか…準備はいいか？あの洞窟は危険だって聞いたぞ」。ラーンは気にせず、剣を構えながら、遺跡へと入っていった。
テルヘルは二人を見つめながら、「今回は慎重に。ヴォルダンとの取引で手に入れた情報によると、この遺跡には強力な魔物が封印されているらしい」と冷静に言った。イシェはテルヘルの言葉に表情を硬くした。「魔物…またか…」ラーンの無謀さにいつもイシェは疲弊していたが、今回の依頼料は高額だったため、渋々従っていた。
遺跡内部は薄暗く、湿った空気が漂っていた。壁には古びた絵画が描かれており、その中には奇妙な記号と生き物たちの姿があった。ラーンは興味津々に壁を指さして「すごい！こんな絵を見たことないぞ！」と叫んだ。イシェは彼を制止しようとしたが、その時、地面が激しく震え始めた。
「何だこれは…」ラーンの言葉は風のように吹き消された。壁から鋭い音が響き渡り、石の破片が飛び散った。巨大な影が二人の前に現れた。それは、翼を持つ巨大な獣で、その目は赤く燃えていた。魔物だ。
ラーンは一瞬躊躇したものの、すぐに剣を抜き、獣に立ち向かった。「行くぞイシェ！逃げるんじゃない！」彼の叫びは、まるで喝采のように響き渡った。イシェは一瞬ためらいを見せたが、ラーンの勇気に動かされて、彼と共に戦った。テルヘルは冷静に魔物の動きを分析し、隙を突いて攻撃を加えた。三人は力を合わせて獣と戦い、ついに倒すことができた。
激しい戦いの後、三人ともへとへとだった。イシェは深く息を吸い込み、「あの魔物…本当に強力だった…」と呟いた。ラーンは疲れ果てながらも満足げな表情で言った。「よし！これで大穴も近いぞ！」イシェは彼の言葉を無視し、遺跡の奥へと目をやった。そこには、まだ見ぬ冒険が待っていた。