ビレーの酒場「荒くれ者」の喧騒の中、ラーンは木製の杯を傾けながら豪快に笑った。「おいイシェ、あの遺跡の奥で見た奇妙な石碑、あれは何だと思ってる?」
イシェは眉間に皺を寄せながら、ラーンの背後から差し出された酒を渋い顔で受け取った。「また無駄なことを考えるな。あんなものはただの飾り物に違いない。遺跡から持ち出せるのは貴重な金属や宝石だけだ。」
「おいおい、そんなこと言っちゃ面白くないだろう!もしかしたら、あの石碑がビレーの街を繁栄させる鍵になるかもしれないぞ!」
ラーンの言葉に、イシェはため息をつきながら言った。「そう願いたいものだけど、現実はそう甘くない。そもそも、あの遺跡は危険すぎる。あの巨大な機械仕掛けのトラップには、もう二度と近づきたくない」
その時、テーブルに影が落とされ、テルヘルが静かに座った。「二人はまだ幼いですね。遺跡は確かに危険だが、同時に莫大な富と力を秘めているのです。特に、ヴォルダンとの国境付近にある遺跡群は…」
ラーンの目は輝き始めた。「おいテルヘル、お前は一体何を企んでいるんだ?」
「私は復讐を誓っています。ヴォルダンに奪われたものを取り戻すために。」テルヘルの言葉には、冷酷な決意が込められていた。
イシェは不安を感じながらラーンを見つめた。ラーンの無邪気な性格と、テルヘルの冷酷な目的は、まるで水と油のように対照的だった。だが、彼ら三人は、運命の歯車によって一つの物語に巻き込まれていくこととなる。