ラーンが遺跡の入り口で鼻歌を歌いながら、錆びた扉を開けようとしたその時、イシェが彼の腕をつかんだ。「待て、ラーン。あの記号...見たことがあるぞ」。イシェは扉の上にある奇妙な紋章を指さした。ラーンの顔色が変わった。「ああ、あれか...」。二人は互いに言葉を交わすことなく、背後から聞こえてくるテルヘルの足音に気を取られた。
「どうだ？準備はいいか？」テルヘルは冷めた声で尋ねた。「あの遺跡には危険な罠があるって聞いたぞ」イシェが言った。「だから慎重に進もうと...」。だがラーンの顔は決意に満ちていた。「大丈夫だ、イシェ。俺たちが探しているのは大穴だ！少しの罠なんて怖くない」。
テルヘルは薄く微笑んだ。「いいだろう。では、進もう」。三人は遺跡へと足を踏み入れた。しかし、扉が開かれた途端、床から冷たい風が吹き上がり、部屋中に不気味な影が揺れた。イシェは背筋が寒くなった。「何か変だ...」。ラーンは剣を抜き、警戒態勢に入った。その時、壁の奥から、かすかな光が漏れてきた。「あれは...！」ラーンの視線が光に集まる。そこには、遺跡の中心にある巨大な石棺があった。
「これは...！？」テルヘルが駆け寄ると、石棺の上には、まるで警告のように刻まれた紋章が輝いていた。それは、遺跡の入り口でイシェが見かけたものと同じ紋章だった。「問題だ...」。イシェは呟いた。その瞬間、石棺から不気味な音が響き渡り、部屋全体が震え始めた。