「よし、今回はあの廃墟の地下だ!噂では古代ヴォルダンの金庫らしいぞ!」ラーンが興奮気味に地図を広げる。イシェは眉間にしわを寄せながら地図を睨み、「また噂話かい?そんな話、ビレーの酒場で毎日聞けるよ」と呟く。
「でも、今回は違うって!テルヘルさんが言うんだから間違いないだろ?」ラーンはテルヘルの方へ視線を向けた。彼女はいつものように冷たい表情で、テーブルに置かれた金貨を指で転がしていた。「情報源は確実だ。地下にはヴォルダン時代の商取引記録が残されている可能性が高い。それを手に入れるのだ」
イシェはため息をついた。「また、ヴォルダンとの因縁か…」テルヘルはヴォルダンへの復讐に燃えている。そのために彼女は遺跡探索にラーンとイシェを雇い、様々な情報や遺物を集めている。イシェは彼女の目的には賛同しないが、報酬が良いので仕方なく協力している。
「よし、準備はいいか?」ラーンの言葉で3人は廃墟へと向かった。廃墟はかつて商業都市だったらしい。今は崩れ落ちた壁と朽ち果てた建物が残るのみだが、かつての繁栄を伺わせる石造りの柱や彫刻が散見された。
地下への入口は崩落して塞がれていたが、ラーンは力ずくで壁を壊し、中へと入っていった。イシェはテルヘルに「本当に安全なのか」と不安そうに尋ねたが、彼女はただ淡々と頷き、先に進む。
地下は湿気と埃に満ちており、薄暗い光が差し込むだけでほとんど何も見えない。彼らは慎重に足取りを確かめながら進んだ。やがて、前方に広がる巨大な地下空間が現れた。そこには古代のヴォルダン時代の商取引記録が残されているはずだ。
「ここにあったか…」テルヘルは壁に刻まれた文字を指差した。イシェが近づいてよく見ると、確かに商取引に関する記述が刻まれていた。
「これは…!」ラーンの声が興奮気味に響き渡った。彼は地面に埋められた宝箱を発見したのだ。
「まさか…」イシェも息を呑んだ。宝箱にはヴォルダン時代の金貨が山積みになっている。
テルヘルは冷静に言った。「この記録と金貨があれば、ヴォルダンへの復讐はさらに加速するだろう」彼女の目は冷酷な輝きを放っていた。