「よし、今回はあの崩れた塔だ。地図によると奥には未踏のエリアがあるらしい」ラーンが目を輝かせ、古い地図を広げる。イシェは眉間にしわを寄せて地図を睨む。「また危険な場所かい? ラーン、あの塔はヴォルダン軍が以前占拠していた場所だって聞いたぞ。罠が仕掛けられている可能性もある」
ラーンの笑顔は少し曇る。「大丈夫だ、イシェ。今回はテルヘルが一緒なんだから安心しろよ!」
テルヘルは背中に剣を背負い、鋭い眼光で周囲を見回す。「遺跡の探索には危険が伴うのは当然だ。だが、その危険と引き換えに得られる報酬もまた大きい。今回の目標は、塔の奥深くにあるという古代の商取引記録だ。ヴォルダンに奪われた財宝を巡る取引記録だと信じている」
イシェはテルヘルの言葉に少し安心感を覚えた。「取引記録か...もし本当にヴォルダンの財宝に関する情報なら、かなり価値のあるものになるだろうね」
ラーンは興奮気味に剣を構える。「よし、準備はいいぞ!大穴を見つけられるかどうかは分からないけど、今回は必ず何か面白いものが見つかるはずだ!」
三人は遺跡へと向かった。崩れた塔の入り口には、かつての戦いの名残が色濃く残っていた。崩れた石柱や壁には、ヴォルダン軍の紋章が刻まれていた。イシェは足元を注意深く確かめながら進んだ。ラーンの無鉄砲さに呆れながらも、彼に何か特別な魅力を感じていた。
「ここからは慎重に進もう」テルヘルが低い声で言った。
塔の中は薄暗く、埃が舞っていた。彼らの足音だけが静かに響き渡る。壁には奇妙な文字や絵が描かれており、古代文明の謎を垣間見せていた。
「これは...商取引の図?」イシェが壁に描かれた絵を指差す。「古代の商人は、この塔を利用して交易を行っていたのかもしれない」
ラーンは興味深そうに絵を眺める。「そうか、この遺跡には商いの歴史も隠されているのか! それなら、もっと面白いものが発見できるかもしれない!」
三人は塔の奥深くへと進んでいく。彼らの前に広がるのは、未踏の遺跡と、そこに眠る謎と財宝だった。