ラーンが巨大な石扉を押し開けた時、埃っぽい空気が彼らを襲った。イシェは咳き込みながら懐中電灯を点け、薄暗い遺跡内部を照らした。そこには、幾何学的な模様が刻まれた壁と、朽ち果てた祭壇があった。「またしても dud だな」ラーンが肩を落とした。イシェは「まだ深く進んでいないわ」と冷静に言った。「ここにも何かあるかもしれない」テルヘルはそう言うと、祭壇の奥にある暗い穴の方へと歩み始めた。
ラーンの視線はテルヘルの後ろ姿を追いかけた。彼女はいつもこうだった。目的意識が強く、まるで何かを追い求めているかのようだった。ラーンは、彼女がヴォルダンへの復讐を誓っていることだけを知っていた。その理由は、まだ明かされていない。
イシェが突然「待ってください」と言った。「この穴から何か...何かを感じます」彼女は目を細め、穴の奥を見つめた。「何かいる？」ラーンの心臓が激しく鼓動し始めた。テルヘルは振り返り、鋭い眼光でイシェと目を合わせた。「気にしない。進むんだ」
イシェはためらいながらもテルヘルの後を追った。ラーンもゆっくりと穴に近づいていった。狭い通路を進んでいくうちに、湿った空気が彼らを包み込んだ。そして、何かの生臭い匂いが鼻腔を刺激した。
「これは...」イシェが言葉を失った。ラーンの視線も、イシェと同じ方向に向いていた。穴の奥底で、何かが蠢いているのが見えた。それは巨大な slug のようでありながら、同時に人間の顔のようなものを持ち、粘液を垂らしていた。その粘液は、まるで唾液のようだった。
「何だあれ？」ラーンが思わず声を上げた。テルヘルは冷静に剣を抜いた。「退けろ」と彼女は言った。だが、その言葉も届かないうちに、巨大なslug は動き出した。粘液をまとった触手が彼らに向かって伸びてきた。