「よし、今回はあの崩れた塔だ！」 ラーンが目を輝かせ、古びた地図を広げた。イシェは眉間にしわを寄せながら地図を覗き込んだ。「また遺跡か… ラーン、いつまでもこの辺境で日暮らしを続けているつもりかい？」 イシェの言葉にラーンは笑みを浮かべて「いつか大穴を見つけるんだ！ 俺たちには命脈がある限り、諦めるわけにはいかないだろう！」と豪語した。
テルヘルが冷めた目で二人を見つめ、「大穴… 夢物語だ。現実的に考えてみろ」と切り捨てた。「今回はあの塔の地下にあるという遺物だ。ヴォルダンが密かに探しているらしい。それが手に入れば、我々の命脈を大きく変えられるだろう」
ラーンの興奮を抑えきれずに「よし、行くぞ！」と立ち上がった。イシェはため息をつきながら、テルヘルの指示に従い装備を整えた。ビレーの街を後にした三人は、崩れた塔に向かって歩いていく。夕暮れ時、塔の影が長く伸びていた。
塔の入り口に近づくと、不吉な雰囲気が漂っていた。イシェは警戒心を高め、「何かいる気がする…」と呟いた。ラーンは「大丈夫だ、俺が先導する！」と剣を抜いて塔の中へと飛び込んだ。
薄暗い通路を進むにつれて、空気中に冷たい風が吹き始めた。壁には古びた文字が刻まれており、かつてこの場所が何らかの宗教施設であったことを伺わせるものだった。
突然、壁から奇妙な音が響き渡り、ラーンが襲いかかった影は巨大な蜘蛛の姿だった。イシェは素早く弓を構え、矢を放った。蜘蛛は矢を受け止められず、激しく苦しみ始めた。ラーンの剣は蜘蛛の硬い外殻に届かず、跳ね返された。
「この塔には何か邪悪な力がある…」イシェが言った時、塔の奥から不気味な笑い声が聞こえてきた。「命脈を奪い、お前たちの魂を食らう！」