「よし、今日はあの崩れかけた塔だ。噂によると、地下にはヴォルダン時代の兵器が眠ってるらしいぞ」
ラーンがそう言うと、イシェは眉間に皺を寄せた。
「またそんな話? そんな危険な場所に行く必要はないわよ。遺跡探索は慎重に、そして計画的に…」
「計画なんていらないんだよ! 宝物が見つかるまで、どこまでも行くんだ!」
ラーンの言葉にイシェはため息をついた。「いつも通りだな」と呟きながら、準備を始めた。テルヘルは、二人がやり取りする様子を冷ややかに見ている。
「よし、準備はいいか?」
ラーンの問いかけに、イシェは小さく頷く。テルヘルは地図を広げ、複雑な地形を指さした。
「あの崩れた橋を渡って塔の内部へ。そして、地下通路を探せ。そこに兵器があるはずだ」
三人は、辺境の街ビレーから少し離れた場所にある遺跡へと向かった。荒れ果てた森の中を進んでいくと、崩れかけた石造りの塔が見えてきた。その姿はまるで巨大な墓標のようだった。
「ここが噂の塔か…」
イシェは不安げに言った。ラーンは、剣を手に持ち、塔へと向かった。
「さあ、行くぞ!」
ラーンの後ろからイシェとテルヘルが続いた。塔内部は暗く、埃っぽかった。崩れた石組みを慎重に進んでいくと、地下に通じる階段を見つけた。
「ここだ」
テルヘルが階段を下り始めた。ラーンもイシェも彼女の後を追った。階段を降りると、そこは広々とした地下室だった。壁には奇妙な模様が刻まれており、空気が重く湿っていた。
「ここが…兵器庫か…」
イシェは呟いた。その時、突然、壁から光が放たれ、床に幾つもの穴が開いた。三人は慌てて飛びのき、穴には鋭い棘が突き刺さっていることに気づいた。
「罠だ!」
ラーンの叫びが響き渡った。
「あの塔はヴォルダンが仕掛けた罠だったのか…」
イシェは恐怖で声が震えた。テルヘルは冷静に状況を判断し、三人に指示を出した。
「ラーン、お前は俺を援護しろ! イシェ、お前は安全な場所へ避難しろ!」
ラーンの剣が光り、敵へと襲いかかる。イシェは必死に逃げる。
「やれやれ…」テルヘルは呟きながら、敵の動きを冷静に観察していた。そして、ある瞬間を捉えて、敵の弱点を見抜いた。
「これで終わりだ!」
テルヘルの攻撃が敵を貫き、ついに戦いが終わった。三人は息を切らしながら、互いに顔を見合わせた。
「あの塔は本当にヴォルダンが仕掛けた罠だったんだ…」
イシェが震える声で言った。ラーンは深く頷いた。
「だが、僕たちは生き延びた。そして、新たな呼び名を得た」
ラーンの言葉に、テルヘルとイシェも小さく頷いた。三人は、この経験から得たものを胸に秘め、再び遺跡へと向かう決意をした。