ラーンの大雑把な swing で開けられた遺跡の扉は、埃っぽい空気を孕んでいました。イシェは小さくため息をつきながら懐中電灯を点けて奥へと進む。石畳が敷かれた通路は両側に崩れかけた壁で囲まれ、時折、不気味な影が揺らめくようでした。
「ここって、一体何の遺跡だっけ？」
イシェの問いかけにラーンは肩をすくめた。
「さあ、テルヘルが言ってたような…古代文明の遺物とか、そんな感じだったはず。」
ラーンの言葉は自信なさげで、イシェは眉間にしわを寄せた。テルヘルはいつも曖昧な情報しか与えない。高額の日当に釣られて遺跡探索を引き受けるものの、その目的はよく分からず、イシェには不安が募るばかりだった。
「何か見つけたぞ！」
ラーンの声が通路の奥から聞こえてきた。駆け寄ると、彼は興奮気味に石棺を指さしていた。装飾が施された豪華な棺は、まるで王族のものであるかのように風格があった。
「これは…大物だな。」
テルヘルが近づき、棺の表面を慎重に撫でながら言った。彼女の目は鋭く光っていた。
「この遺跡には何か秘められたものがあるはずだ。そして、それが我々の鍵になる。」
イシェは棺の複雑な模様と、テルヘルの燃えるような瞳を見つめて、胸がざわつくのを感じた。彼らは一体何に巻き込まれているのか…
その夜、ビレーの酒場で、ラーンとイシェは疲れた体を休めていた。テーブルには、テルヘルからもらった報酬が置かれていた。それはいつもより多く、ラーンの目を輝かせたが、イシェの心は落ち着かなかった。
「あの遺跡…何か変だと思わないか？」
イシェはラーンに尋ねると、彼は酒をぐいっと飲み干して言った。
「ああ、確かに。なんか…独特な空気があった気がするな。」
「独特な空気…」
イシェは言葉に詰まった。彼女は、あの遺跡から漂う不気味な雰囲気、そしてテルヘルの執念深い眼差しを思い出した。この探索には、何か大きな秘密が隠されていると感じてならない。
酒の味わいを噛み締めながら、イシェは自分の直感を信じることを決めた。彼らは一体どんな危険に巻き込まれるのだろうか…