ラーンの大斧が朽ちた石柱に炸裂し、粉塵が舞い上がった。イシェは咳き込みながら「また無駄なエネルギーだ」とぼやく。だがラーンは気にせず、目を輝かせた。「ほら見て、こんなところにこんな石碑があるってことは、きっと奥に何かあるはずだ！」
テルヘルは眉をひそめた。「遺跡の構造から判断するに、この石碑は単なる装飾品だろう。時間と労力を無駄にするな」
ラーンの好奇心を抑えるには至らない。イシェはため息をつきながら、石碑の文字を丁寧に解読した。複雑な呪符が刻まれており、古代語で書かれた内容に、彼女は眉をひそめた。「これは警告文だ。この遺跡には危険が伴う」
ラーンの顔色が変わった。「危険？面白くなってきたぞ！」
テルヘルは冷静に状況を判断した。「危険を冒す価値があるのか？我々の目的は遺物を入手することだ」
「でも、もしかしたら大穴が見つかるかも…」ラーンは目を輝かせた。
イシェは彼を見つめ、「もし何かあったら、責任を取れるのか？」と問いかけた。だがラーンの耳には届いていないようだった。彼はすでに遺跡の奥へと進んでいく。イシェはため息をつき、テルヘルに視線を向ける。「彼を止められるのはあなただけよ」
テルヘルは深く考え込んだ後、ゆっくりと頷いた。「わかった。ただし、危険を冒す場合は、その責任は全てお前たちにあることを忘れるな」
ラーンはすでに深い影の世界へと消えていった。イシェはテルヘルに不安そうに問いかける。「本当に大丈夫なのかしら？」
テルヘルは小さく頷きながら、呪符が刻まれた石碑を見つめた。彼女の瞳には、複雑な感情が渦巻いていた。