ラーンの粗雑な斧の swing が埃を巻き上げ、薄暗い遺跡の奥深くへと消えていった。イシェは眉間にしわを寄せ、彼の後ろを mengikuti していた。
「あの暴風雨で崩落した場所だっけ?」
イシェの言葉にラーンは振り返り、不敵な笑みを浮かべた。「大丈夫、大丈夫。俺の鼻が利くんだ。ほら、この土の匂い、何か臭うだろ?」
イシェはため息をつきながら、ラーンの後を続けた。彼の「鼻」は多くの場合、単なる勘違いだった。それでも、イシェはラーンの行動にいつも付き合わなければならなかった。彼には、ラーンの楽観的な明るさと、どんな困難にも立ち向かう勇気に惹かれるものがあったからだ。
彼らは遺跡の奥深くへと進み、やがて崩れた石壁の前にたどり着いた。壁の一部には、かすかに光る模様が刻まれていた。
「これは…」イシェは目を丸くした。「古代語だ!」
ラーンの顔色が変わった。「そうか!もしかして、宝の地図か何か?」
「そんなわけないでしょう」イシェは冷静に言った。「でも、この遺跡は以前より複雑になっている気がする。何か新しい発見があるかもしれない」
その時、背後から冷たく鋭い声が響いた。
「面白い発見ですね。一体何をしているんですか?」
ラーンとイシェが振り返ると、そこにはテルヘルが立っていた。彼女の目は鋭く輝き、薄暗い遺跡の空気を切り裂いていた。
「テルヘル…」イシェは少し緊張した様子で言った。「何しに来たんだ?」
テルヘルはゆっくりと近づいてきて、崩れた壁を指さした。「この遺跡。私はここに何かがあることを知っています。そして、あなたたちがそれを手に入れる手助けをするつもりです」
ラーンの胸が躍った。「何を手に入れるって?宝か!?」
テルヘルは微笑んだが、その表情には冷酷な光が宿っていた。「宝ではありません。もっと価値のあるもの。ヴォルダンを滅ぼすための鍵です」
彼女の言葉に、イシェは息をのんだ。ラーンの顔も硬直し、彼の吐息がかすかに白い煙となって消えていった。彼らは、この遺跡が単なる冒険の場ではなく、運命の歯車が回り始める場所であることに気づき始めた。