ラーンの大 hammer が、石壁を砕き、埃の粉塵が舞い上がる中、イシェは眉間にしわを寄せた。「またしても行き止まりか…」
「おいおい、イシェ。そんなに落ち込むな。まだ探せば宝物は見つかるさ!」ラーンはいつものように楽観的に笑った。だが、イシェの視線は、彼の笑顔ではなく、崩れかけた遺跡の奥深くへと向いていた。
「宝物を求めて遺跡を荒らすのは、名君が築き上げた文明を破壊する行為だ」と、テルヘルが冷たく言った。「我々には時間がない。目的達成のためなら、手段を選ばない覚悟が必要だ」
イシェはテルヘルの言葉に胸を締め付けられた。彼女はヴォルダンへの復讐という強い意志を持つ女性だが、その手段を選ばない姿勢は、イシェにはどうしても受け入れられないものだった。
「何か見つけたぞ!」ラーンの声が響き渡った。彼の指さす方向には、壁に埋め込まれた小さな金色の箱があった。イシェが近づいて箱を開けると、そこには一枚の古い地図と、錆びた剣が入っていた。
「これは…?」イシェは地図を広げると、そこに描かれた複雑な地形と記号を不思議そうに眺めた。
「ヴォルダンとの国境付近に何かあるようだ」テルヘルが地図を奪い取り、鋭い目で確認した。「この地図は、我々の目的達成に大きく役立つだろう」
イシェは地図をちらりと見た後、ラーンの顔を見た。「この遺跡を荒らすのは間違っている。名君が残した文明を尊重し、真の宝探しをするべきだ」
ラーンは少し考え込んだ後、小さく頷いた。「そうだな。イシェの言う通りだ。俺たちはただ宝を求めるだけでなく、何か大切なものを見つけるためにここに来たんじゃないか?」